本日のメモはニッカウイスキーのハイニッカ。先日やまやで掴んだ2本2000円ネタの続編。
ジョンバー(ブラック)の相方として選んだ1本です。
これもスーパーでよく見る1本。スーパーのお酒コーナーで見るお酒はほぼ制覇しておりますが、このハイニッカとスーパーニッカ(そしてサントリーのリザーブ)はいずれ飲もうと思っていました。スーパーニッカがおいしいことは知っておりますが、スーパーに並ぶ最後の砦としてキープ。
さて、このハイニッカ、今はウイスキーのカテゴリーですが昔はスピリッツの2級酒。竹鶴さんの寝酒だったそうで、晩酌で連日1本カラにしたという酒豪伝説。これが当時500円でバカ売れしたのでサントリーがレッドを投入したという逸話が面白い。
(私も1週間や10日ぐらいならできますが毎日はちょっと…)
つい先日サントリーの角瓶もリキュール落ち宣言しましたが、わたしはまだ一度もリキュール表示の角瓶をみたことがない。田舎のお店はすべてウイスキーの文字。
(あれも姿を消すと転売価格に値が上がるのかな?)
話をもどし、ハイニッカも当初は混ぜ物ウイスキーでしたが今では立派なブレンデッド。でも特筆すべきはアルコール度数39%。ブラックニッカクリアの37%よりは高いですが40%ではないという珍しい一本です。この1%の差があることで厳密にはウイスキーではなく「ウイスキーもどき(つまりスピリッツ)」ですが実は深い意味がありまして酒税は37%までは一律です。
37度未満のウイスキー、ブランデー、スピリッツは1キロリットルあたり370,000円也。
あとは1度数ごとに1万円ずつ加算されます。つまりハイニッカの税率は39万円。40度にすれば正真正銘のウイスキーですが、あえて1%低いウイスキーもどきに止めた理由は竹鶴さんの「おいしいウイスキーを、みんなの手に届くウイスキーにしたい」ということに尽きると思います。
ぶっちゃけ「国はどんだけ税金搾取したら気が済むねん」と言いたいところですが、これぞ「コスパ」という言葉の正しい使い方のお手本商品です。
ちょっと真面目なことを書きますが、これはとても大切な企業精神だと思いますよ。
日本は格差が酷い時期、戦争の時期、格差を感じにくい一億総中流の時期、そしていま再び格差の時期です。なんで国民が中流意識を持てたかというと、そこには国民ひとりひとりに中流以下を脱する気概があり、企業も竹鶴さんのように「みんなの手に届ける」という志があったからだと思います。
この「みんなの手に届ける」という表現はシンプルですがとても高貴ですね。
(こどもでも共感できる言葉の響が大好きになりました)
国民すべてが仲間であり友人であり、だからこそ「みんな」という言葉が広告の謳い文句として使える時代を取り戻す時期に来ているように思います。
当時の500円は今の価値に換算して2.4倍なので1200円。つまりこれが1,000円で飲めるというのは(私の妄想が間違っていなければ)竹鶴さんの理念のお陰様といって過言ではないでしょうね。
ハイニッカの感想
まずこのボトルですが意匠デザインですよね。
ボトル外周はどんなに目を細めて見ても直線デザインですが前面と背面はいびつな六角形になっていて、それに合わせていびつなハニカム紙ラベルが貼ってあり、どことなく横に太っちょな印象ですが手で掴むと真っ直ぐですから自然に掴める。
最初からこのデザインですので息の長い商品というのは最初に完成されていることが分かる一品。
誰が言ったか忘れましたがニッカウイスキーの味は値段通りになっているというのを聞いたことがあります。たとえば分かりやすいところでサントリーの響などは意匠ボトルプレミア価格ですが、ニッカは常に愚直。
歴代ウイスキーをすべて並べて比較しても「なるほど、確かにこのボトルはこの辺の値段の味に整えてある」というのが分かるんだそうです。
オフィシャルサイトにはこんな風に書かれております。
ニッカウイスキーは余市で知られるスモーキーな特徴を持っていますが、本家スコッチウイスキーのガチのピーティさに比べるとたしかに「ほのか」なブレンドに感じます。
(これ以上に煙感が出しゃばると私も嫌いになる)
純和風家屋の雰囲気にBGMは小林旭の「泣いた数だけ倖せに」と北島三郎の「与作」ハーモニカ?バージョン。マイトガイの曲に草刈正雄?与作に草刈正雄?ミスマッチすぎるでしょ。
どんだけ全世代包囲網CMなのさ。
(小林旭といえば私の親と同世代ですから…怖っ)
高度経済成長のさなかに発売され、当時ウイスキーという敷居の高い「舶来モノ」を国内で飲み語らうことに喜びを感じた時代の変遷を感じながら飲めるというのがありがたい。
さて、基本的に味音痴ですが喉越しが快いものを選ぶ傾向があるジジイの率直な感想…
開栓時のファーストインプレはアルコール臭70%、よくわからない甘いフルーティーな香りが30%。香りからはとても1,000円と思えない芳醇な印象。ストレートを口に含むと最初と最後にアルコールの刺す感じ、あのピリッとした感じがありますが中間は甘さが際立っています。普通にガブガブ飲めますね。
トワイスアップにしても香りは消えずしっかり残っています。不思議。なにせ1,000円ですから。加水したことでアルコール感は控えめになります。甘さもストレートの名残を維持しています。正直ちょっと唸ります。とてもおいしく整えてあることに驚き。
ロックは香りがほとんどしませんがストレートやトワイスアップと違い甘さが際立つ印象。キャラメル系の甘さ。どの飲み方も最後に少し苦味が来ますね。そういうチョコレートがあるか知りませんが1粒のチョコレートの真ん中に5ミリ角四方のビターチョコレートが仕込まれてるような感じです。なので口に入れて甘いチョコレートを楽しんでいたのに最後は苦味を感じる。それでも気になるほどの苦さではないです。ハイボールは試さず。
- 初心者おすすめ度 : ★★☆☆☆
- アルコール感 : 感じますが…1,000円での評価は難しい。でも初心者向きではないと思う。
- 喉越し : ほどよいねっとり感もありロックがおすすめ
- 香り : キャラメル感
- リピートしたい度 : 春秋シーズンの夜長に安酒ロックでチビチビとしてはアリだと思う
ストレートでもおいしく飲めますが、個人的にはトワイスアップやロックがおすすめ。やはり後半のビター感を和らげる意味で氷は重要。これだけアルコール臭がキツいのにおいしく感じるのは甘さのお陰でしょうね。
ウイスキーが苦手な人はロックからお試しあれ。
やはり竹鶴さんの晩酌を想像して飲むわけですが「みんなの手に届くウイスキー」にしても飲んでマズければ意味がない。それを見事に裏切ってくれますね。
安くてもおいしく飲めるお手本ウイスキーでしょうね。どんなに安くてもト◯スはちょっとムリ。
最初に触れたとおり40度ではないのでウイスキーもどきですが、これをウイスキー好きの外人が飲んで7.5ドルなり7.5ユーロなりと知ると驚くと思いますよ。
先日ジョンバーを飲みましたけど、あの甘さはどことなく人工的チョコレート系のねっとりした甘さでした。多少干しブドウの香りなどもしましたが、どちらにせよネットリな甘さ。ハイニッカは前半がキャラメル、後半が焦がしキャラメルといった感じ。あれと比べてあっさり系。
私はジョンバーよりもハイニッカが好み。
(結局ウイスキーも値段ではなく自分の舌の好みです)
基本的にニッカウイスキーは余市系ではなく宮城峡系を好むぐらいスモーキー系は嫌いですが、マイルドな喉越しは日本製が勝る印象。が、しかし、スーパーの陳列棚にはこれより飲みやすくてお得な初心者向けウイスキー「デュワーズ」も参戦しており、なかなか厳しい戦いです。
ところで…
ウイスキーといえばスコッチですが、そのイギリスも水問題があるそうで…
わたしが子どものころは「もうすぐ石油が枯渇してガソリンがなくなる」と言われていましたが実際は枯渇していませんからフェイクニュース。でもイギリスの水問題は本物で、人口増加と気候変動で需給が合わず2030年ごろから問題が顕在化するとか。
スコッチをリーズナブルに楽しめるのもあと10年ぐらいかもしれません。
最近の日本も七夕をすぎると線状降水帯のゲリラ豪雨が常態化していますが水問題は諸外国に比べると(いまのところ)軽微。
最近つとに思いますが資源は限られていて、とくに水資源は自然循環リサイクルの基本。そこに人間のルールによる原発の放射性物質、遺伝子組み換え情報、ワクチンなどの薬を製品と排泄物のWで垂れ流す日々。
減りゆく自然がどこまで濾過してくれるかを妄想したとき「おいしいウイスキーは今後ではなく半世紀前、もっと言えば工業化前夜のウイスキーだよなー」なんて思っています。なので70年代、80年代のウイスキーにも興味がある今日このごろ。
アルコール度数を自在に変えるのはおいしい水が潤沢であってこそ成せる話でウイスキーに限らず日本酒でも焼酎でも一緒。
自然相手に品質を保つことは当たり前だけど当たり前じゃないだろうなぁ、なんて思いながらチビチビ楽しみました。
実は8月は飲酒が過ぎましてワイン2本、ウイスキー4本、ハイボール缶数本、缶ビール数本で飲み過ぎました。「気持ち悪ぅ」というぐらい飲み過ぎたので9月は飲酒予定ナシ。いまさらですが飲んでも酔いにくい体質というのも寂しいものですな。次は来月後半の登場と思われます。
ハイニッカ、ごちそうさまでした。
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