YUZA Second edition 2022[遊佐 セカンドエディション 2022]

YUZA Second edition 2022[遊佐 セカンドエディション 2022] ジャパニーズ
YUZA Second edition 2022[遊佐 セカンドエディション 2022]
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本日メモするウイスキーは「YUZA Second edition 2022」です。

(結論から言うと今日のウイスキーは旨い!)

じつはこのメモの下書きは2024年1月です。飲もうと思い書きはじめたのですが、父親の体調がすぐれず飲まず仕舞いが続き、結局年末に父親は亡くなり、2025年1月に飲もうと思っていたのですが、仕事のお付き合いで来客時にデュワーズのカリビアンスムースを開栓したため更に先送りとなり、ようやく登板。

Dewar's Aged 8 years -CARIBBEAN SMOOTH- [デュワーズ 8年 カリビアンスムース]
先日メモしたスリーシップス。あまり体調がよろしくないこともあってなかなか減らず苦戦し、最終的には捨てました。まぁ好みだからね。美

ということで…

2023年はありとあらゆるものが値上げされました。2024年、2025年も値上げは継続中。しかも円安。実質実効為替は1960年代へと逆戻りし、資産価値が文字通り半減しております。平たく言えば100円の価値は50円しかない時代です。さらにコロナ禍で欧州のインフレが凄まじいことは聞き及んでいましたが、日本も周回遅れで到着です。

みなさま、ウイスキー買ってる?

わたし?今年はたまに缶ビールを飲むぐらいです。

社会を見渡すと、100均ショップに活躍の場が残った状態でのインフレですからスタグフレーションであることは明らかですが、加えて強烈な格差社会も進行中で頭がイタい。

ウイスキーも例外ではなく少し前(ではなく、今となってはかなり昔)のメモで昨年末に(わりと)安かった「グレンリベット18年」の衝動買いを書きましたが、それ以外に買っていたのが遊佐蒸溜所のウイスキーでした。

当初は「バランタイン17年トリビュートリリース」を買う予定でした。実売価格は今のところリーズナブルお値段で、且つ「17年」という逸品でも頑張れば1万円以下で買えます。

(高くないと言っても十分高いですけどね^^;)

しかしそれを買う数秒前に新発売の「YUZA Third edition 2023」のニュースを嗅ぎつけまして「ミズナラ樽かぁ。んー、ちょっと魅力的だなー。」と思って眺めておりました。

でね、オフィシャルHPで先のサードエディションの商品情報を読んでいると、別商品と思われるボトル写真が視界に入り、それをクリックしたが最後、ご購入の運びとなりました。

2023製品よりも2022製品に惹かれた…

なんで2023年のミズナラより2022年に惹かれたかというと、ウイスキーの初心者として「より甘口で、よりフルーティーで、より飲みやすいウイスキー」情報に溺れた結果。

そしてもうひとつの視点は、これを生産されている山形県酒田市の人口減少問題。

これを作られている株式会社金龍さんは地元で焼酎の絶大なシェアを持っておられるそうですが、半世紀を待たずして山形県が存亡の危機となれば、当然会社も存亡の危機です。

(その焼酎は飲んだことないですけどね)

もはや国家存亡の危機という無子化ですが、戦後の政党政治や経済団体が与党も野党も裏金や利権まみれで腐りに腐ったおかげで人口が減る一方でも、諦めずにグローバル経済と折り合いをつけながら「いかに事業を継続するか?次世代へ継承するか?」を考えた時に出した答えのひとつが「ウイスキー作り(だろうな)」と知ったから。

山形県人口ビジョン (令和2年改訂版)のデータを勝手に拝借しますが…

令和5年12月現在の山形県人口は1,024,093人だそうで、このまま推移すると2050年に71万人。2023年出生データは想定より12年早い少子化ですから、2100年に50万人を割っても驚きません。このままだとガチでそうなります。

とメモしていたのですが…

改めて令和7年を調べると9月1日現在の推計人口は995,490人。令和5年から2.8%減。2050年には66.8万人です。

そこでですよ…

バランタインといえば日本の元締めはグローバル企業のサントリーじゃないですか。つまりですね、バランタインは美味しい(はずだし)、17年ものを飲みたいし、遊佐に比べてお安い。

すべてにおいてグローバル企業が優位な環境でなにも考えずにグローバル商品を買うと、「これを続けていると日本は滅ぶな。どーせお金を使うなら日本人が豊かになるために使いたい。だからN/Aだけど遊佐のウイスキーにしよう」と思ったわけです。

しかしお値段税込16,500円也!!!

(実売価格が多少お安いとはいっても送料を足すと田舎者の私にはめっちゃお高い!)

非正規労働爆増による雇用維持を推し進めた結果の格差社会による経済維持でこれを買えるのは公務員か大企業社員か経営者ぐらいです。それは日本の労働人口の半分しかいません。もはや、どーやってもグローバリストに加担し、グローバリズムに迎合しないと生活が成り立たない状態が情けないかぎりです。

(本気でそう思っております)

グローバリズムに加えて円安とインフレのトリプルパンチ。こちらの会社としては16,500円で会社経営と社員待遇が成立する話ですから、ザックリとモノの値段を2-3倍にしないと生き残れない時代へと突入済み。

(ウイスキーを開栓するまでに気持ちで負けて疲れますな)

遊佐蒸溜所 - 山形県初のジャパニーズウイスキー蒸溜所、遊佐蒸溜所の情報を発信。ウイスキーを育てる、「湧水の里」遊佐の風土もじっくり紹介していきます。
山形県初のジャパニーズウイスキー蒸溜所、遊佐蒸溜所の情報を発信。ウイスキーを育てる、「湧水の里」遊佐の風土もじっくり紹介していきます。

 

遊佐 セカンドエディション 2022 の感想

ずいぶん暗い話を書きましたが、日本人の感性をもって挑めば日本酒や焼酎などのオリジナル技術を持つ民族なので、「間違いなく世界で勝負できるウイスキーが作れるはず」と勝手に思っておりますが、飲んでみないと分かりません。

サイトにはこんなことが書いてありました。

遊佐蒸溜所で造るウイスキーは、
Tiny(ちいさな)
Lovely(かわいい)
Authentic(本物の)
Supreme(最高の)
上記の頭文字を取った「TLAS(トラス)」をコンセプトとしています。

遊佐蒸溜所は、敷地面積約4,550㎡、蒸溜所面積は約620㎡と、ウイスキー蒸溜所としてはとても小規模な蒸溜所です。外観は小さく可愛らしくも見えますが、造るウイスキーは本格的かつ最高品質のものを目指します。伝統的な製法を用いつつも、日本らしい「ものづくり」に対するこだわりを持って造る、世界に一つのジャパニーズウイスキーです。

この「トラス」というコンセプトがしっくり感じる日本人は多いと思いますし、この定義は全世代に当てはまると思います。

2022年はコロナ第7波で騒がれていました。まだまだ得体の知れない恐怖感が蔓延していた時期でしたが、そういう時期に新しいことに挑戦した会社があったというのは奇跡です。

ただね、願わくば、問題は…このお値段!で・す・よ。

やはりお高い!

とても庶民が手を出せない。ハーフボトルでもいいから、いや、もっと小さくてもいいから値段が下がれば飲みたい人、飲んで応援したい人もいるはず。

ということで「遊佐 セカンドエディション 2022」のボトルを眺めると「62% vol」なる文字。なんとカスクストレングスでした。

(今さらちょっと得した気分)

商品紹介 - 遊佐蒸溜所
山形県初のジャパニーズウイスキー蒸溜所、遊佐蒸溜所の情報を発信。ウイスキーを育てる、「湧水の里」遊佐の風土もじっくり紹介していきます。

なんと受賞歴も発見。

国際評価 :
ISC 2023 Tasting Awards Silver
WWA 2023 Small Batch Single Malt Silver

さて、基本的に味音痴ですが喉越しが快いものを選ぶ傾向があるジジイの率直な感想…

開封した第一印象は強烈な「甘い香り」。久しぶりにこの感覚を堪能。

アルコール度数が68度でもまずはストレートでチビチビと。口の中に含んだ時はバニラ感ですが、飲み込んだ後の口内は柑橘系のさっぱりした香りも。しばらく口に含んだまま転がしていると渋みも感じますがピート感はほぼ無し。僅かに熟れる前の青臭いいちじくも感じます。ディプティックのフィロシコスをかなぁ〜〜〜り薄めた感じ。

ロックはいわゆるエステリーな香り。私はあまり好きではない感覚ですが氷が溶けるにつれて角がとれて味に丸みが出てくるのはその他のウイスキーと似た展開。ここでも後味に渋みを感じました。今回試していませんが、ロックでこの感覚だとトワイスアップも間違いなくおいしいと思います。

久しぶりにハイボール。これが予想外に美味。ハイボールで飲む価格帯でもないですがさっぱりした喉越しでゴクゴクいけちゃいます。どことなく甘酸っぱさ(というか、どちらかというと酸っぱさ)を感じるのですが、あとからどことなくやって来る果実感にいつの間にか消されて飲み干せてしまう不思議な感覚。

  • 初心者おすすめ度 : ★★★★☆
  • アルコール感 : キツくない部類だと思います
  • 喉越し : 基本スッキリですが飲み方によっては後味に若干の渋みやビター感も
  • 香り : フルーティー、バニラ
  • リピートしたい度 : リピートしたい味だけど、いかんせんお高い^^;

なんと美味しいウイスキーだこと。ぶっちゃけ、ウイスキー製造歴が短く期待薄のはすが見事に裏切られました。驚きの出来栄え。

お値段が高いだけの価値はあると思いますが、いかんせんお高い!とても初心者が散財できる価格ではないのでおすすめしませんが、味わいとしては超絶おすすめできる1本です。

YUZA Second edition 2022」ごちそうさまでした。

ところで…

最後に余談ですが、今年はニッカの「グレーンスピリッツ」表記が話題でした。賛否というよりは拒否拒絶の意見が多いわけですが、私は「たぶん海外メーカーもしれーっとやっとる」と思っています。さらに言えばウイスキーの味は技術的に再現性があるとも思っていています。

BLACK NIKKA Deep Blend [ブラックニッカディープブレンド]
ウイスキー解禁の最初がホワイトホースという実に庶民的な幕開けでした。あの後しばらく飲む酒がないので禁酒していましたが、たまたま立ち寄ったスーパーの棚に一本だけ残っていたのがブラックニッカのディープブレンドでした。

メーカーは口が裂けても言わないと思いますが、味は技術的に再現可能な時代です。

前回サクラオの「ソガイニ」をメモしましたけど、普通に製造すると販売本数は限られるし、熟成が足りず味に奥行きがない。そらそーだよね。さらに「基本、水で薄めて飲むもの」なので水質によって味はかなり変化するとも思います。

そんな細かな味の違いを一般人は理解できるのか?

たぶんテスター舌の持ち主でもない限り一般人には不可能。

むかし養殖ハマチや養殖タイの取材をしたことがあるのですが、ある意味天然より旨味が増しておいしい。圧倒的に養殖がうまい時代なんです。

よく「フレーバーサイエンス(香料化学)には限界がある」と言われますが、社歴が長い会社ほど時間と熟成の関係性をデータ化できているはずなので、老舗ほど消費者を騙せると思います。逆にサクラオのような新参者はデータがないので騙せる要素が無い。騙しにくい。

そして、アルコールに限らず「同じ味」を作る食品業界では「GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析)」「HPLC(高速液体クロマトグラフィー)」「味の指紋(フレーバープリント)」「AIブレンダー(味覚アルゴリズム)」「NMR(核磁気共鳴)分析」「FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)」「E-nose(電子鼻)」「E-tongue(電子舌)」「Raman分光分析」「メタゲノム解析」「代謝フラックス解析」「マイクロバイオームモニタリング」「官能データベース+AI補正」「デジタルツイン醸造システム」など挙げるときりがない最先端技術でいくらでも味を再現できる時代。

つまり、元々「蒸溜所で時間をかけて樽熟成した原酒」という原理原則が、今は「時間」を無視してウイスキーが作れる時代なんですね。つまりニッカだろうが、サントリーだろうが、エドリントンだろうが残るは倫理観だけです。

もう技術的に再現可能な時代なんだからメーカーも「そのタイプのウイスキーです」といって売ればいいものを、こっそり黙って売り続け、ある日突然「グレーンスピリッツでした」というから荒れるわけです。

最近思うことですが、私より上の世代の方々は、ほんと「儲かったらなにやってもいい」という人が多いですよね。企業不祥事然り。そんな感情が蔓延する社会では少子化も止まらんよね。

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