JAMESON[ジェムソン スタンダード]

アイリッシュ
JAMESON[ジェムソン スタンダード]
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本日のウイスキーはアイリッシュウイスキーのジェムソン

オフィシャルサイトに書かれているとおり「ピートを使わず、大麦、モルト、グレーンの3つを原料とし、3回蒸留によって造られるジェムソンの豊かな香味とスムースな味わいが特長」なんですが、あまりにもどこでも見かけるウイスキーゆえに改めて詳しく取り上げられることもなく、でも「おいしい」というキーワードだけは漂ってくるウイスキー。

この「どこでも見かける」というのはおおげさではなく、本当に世界中で飲める1本。海外でアイリッシュウイスキーを尋ねると「またコレかょ」って頻度で登場してきます。

これも正月に飲んだウイスキーのひとつですが、上から眺めるとワインボトルに見えましてね、奥のボトルは未開栓なので見るからにワインボトルな風貌でしょ?

(なんとなく別のボトルへ手がのびてまだ飲みきってないのよね)

ということで、ちょっと歴史を覗いていました。

ボトルキャップにも見られる「JJ&S」ですが、この「&S」というのは「& Son」の略です。日本風に言えば「徳川家」「島津家」みたいな「○○家」な感じで老舗感たっぷり。

(この表示だけでちょっと歴史を感じる)

一番興味深かったのは1918年の解説。

A coal shortage due to WW1 affected over 800,000 people. At the same time, a deadly influenza virus broke out, which significantly impacted the distillery’s production and delivery capabilities.
Corn Shortage
For a drink that prides itself on smooth, this was one rough year. The Jameson Distillery was closed from 1917 to 1918 to the war-caused corn shortage.

第一次世界大戦で石炭が不足し、同時にインフルエンザが発生し、さらにトウモロコシ不足。ということで、この期間ジェムソンは閉鎖したそうです。コロナ禍風に言えば「ステイホーム」。

(次のウイルス劇場は2120年ということになりますね)

1919年に事業再開したそうですが、1920年から1933年はアメリカの禁酒法や第二次世界大戦による大西洋横断輸送禁止などでひっちゃかめっちゃか。

都合15年は厳しい時代だったそうです。

(今風に置きかえると2035年まで厳しい状況が続く感じ)

そしてもう一つ面白かった記事がバレルマンのアイコンについて。

If you look closely at our bottle, you’ll see a Barrelman icon embossed on the glass. They represent the hard workers past and present who built our whiskey from the ground up. The ‘Barrel Man’ emanates from the renowned early 20th-century London advertising agency W. S. Crawford. The famous graphic designer and artist Edward McKnight Kauffer worked for Crawford’s in the late 1920s and created artwork for the John Jameson Whiskey campaign.

これによるとボトルに「バレルマンというアイコンが記されている」とあったので眺めても見当たらなかったので、最後にボトルをひっくり返したら、底にいました!

Barrelman icon

樽(バレル)を担いだ人が右方向へ向かってる感じ。

(なるほど、こいつのことか!)

この部分だけ切ってグラスにしてもよさそうです。底面付近には「1780」と「JOHN JAMESON & SON」の刻印も入ってますから、4センチぐらいの高さで切ればバレルマンを眺めながらウイスキーを楽しめますょ。

これをデザインしたのがエドワード・マックナイト・コーファー(Edward Mcknight kauffer)だそうで、その後のポスターやデザイン業界に大きな影響を与えたお方。だそうです。

似たデザインとしてアドルフ・ムーロン・カッサンドルを思い出しました。

いま見て驚きはないですが、当時は斬新だったでしょうね。洗練とまでは感じませんが、それでもバレルマンは洗練された部類じゃないですかね?

(ど素人感覚ですが…)

Jameson Barrel Man

動画でサクっと学習できるありがたさ。


もうひとつオマケで面白かった記事が偽装品。

Damage from Bootleggers and unscrupulous publicans who cut Jameson whiskey with water created long-lasting effects by tarnishing the Irish Whiskey category and its reputation for quality.

「BOOTLEG=海賊版」。どうやら規定度数より低い偽物が1930年頃に出回ったそうです。昔も今も人間がやることは一緒ですね。

ということで、スーパーで手軽に売られているジェムソンも歴史に翻弄され、なんとか今の時代にも生き残っていることを知って飲むと宅飲みでもありがたさを感じてみたり。

https://www.jamesonwhiskey.com/en/our-whiskey/jameson-irish-whiskey/

 

ジェムソンの感想

このボトルはラベルが期間限定なだけで中身はスタンダードのままです。

ボトルの印象は「ジェムソンは年中クリスマス」みたいなボトルカラー。グリーンのボトルにエナメルっぽいキャップ。そしてラベルは少し黄色味がかった栗色のような枯葉色のような。さらにゴールドインクも使って華やかさも演出。

ちなみにこのデザインは大河原健太郎さん。だそうです。

(名前に漢字6文字ってインパクトありますね)

Just a moment...
国際評価 : 見当たらず

国際評価は18年が名高いそうですが、スタンダードには見当たりませんでした。このスタンダードボトルはアイリッシュですから3回蒸留され、オーク樽で4年熟成だそうです。ノンエイジだけど4年熟成ということですね。

さて、基本的に味音痴ですが喉越しが快いものを選ぶ傾向があるジジイの率直な感想…

開栓するととてもフルーティーな印象。アルコール臭も控えめ。ほんのりバニラの香りがしています。ほんのり甘さを感じる別の香りも。2,000円程度のボトルにしては華やかな印象。

ストレートを口に含むと多少アルコールのピリっとした感覚がありますが、総じてなめらかな舌ざわりで、開栓時のバニラ香も維持したまま。甘い香りはキャラメルと若いバナナをミックスした印象。余韻にちょっとスパイシーさも。他の何かに似ていると思ったのですが、たぶん自家製のキャラメルアーモンドのような味。キャラメル自体は甘いですが、アーモンドの渋皮は苦味が残ってる。でもキャラメルとミックスされると甘さが勝って渋さが隠し味になる、そんな印象の甘さ。たぶんオーク樽の歴史による甘さなんでしょうね。

少し加水すると飲みやすさがヤバい。ガブガブ飲める系になってしまいます。この時点でロックやハイボールを飲む気が失せました。ストレートが一番うまいと言い切れるぐらい初心者に飲みやすい1本だと思います。

  • 初心者おすすめ度 : ★★★★☆
  • アルコール感 : 相対的に控えめです
  • 喉越し : スムース
  • 香り : バニラ、
  • リピートしたい度 : リピートはアリだと思う

噂どおり「ウマい!」ですね。

元々ジェムソンはマズくないデータがインプットされておりましたが、たぶん20年ぶりぐらい飲んでも印象は変わらずです。

スーパーでも見かけるウイスキーですが、これより安いウイスキーも幾つか鎮座しており、ボトルデザインも単調でいまひとつ手にされにくい印象ですが、個人的にはCMに誘導されてジャックダニエルやジムビームを掴んで樽香嫌いになるぐらいだったら「ジェムソンを掴むべし」だと思います。

もちろん深味は足りません。まったく。でも初心者がおいしくお酒を楽しめるか?がメモの目的なので、十分おいしい。しかもお手頃価格。ジェムソン、ごちそうさまでした。

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