2021年4月から始まるジャパニーズウイスキーの再定義備忘録

雑記
この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

2020年から再開した呑んだくれメモですが、自分で飲みながら「こーゆーの、ジャパニーズウイスキーって言うのか」と思っていたのですが、ひとつの基準が決まりました。たまたま去年ウイスキーを再開したので備忘録を残してるだけなんですが、今回の出来事はウイスキーに携わる人だけの問題ではなく、日本人のアイデンティティのようなものの再確認、再定義に感じました。

話題のニュースの中身がコレ。

 

2021年4月以降のジャパニーズウイスキーは狭き門
定義に基づくと、サントリーは「響」「山崎」「白州」「知多」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「オールド」「季(TOKI)」の8ブランド(各年数物、蒸溜所限定物も含む)が対象。ニッカウイスキーは「竹鶴」「余市」「宮城峡」「カフェグレーン」4ブランド(各年数物、蒸溜所限定物も含む)。キリンホールディングスは「富士」1ブランドと蒸留所限定などがそれぞれ対象となる。

上記ブランドがジャパニーズウイスキーを名乗れる代表格です。

というこで、これ以外はおそらく日本で作られていない海外原酒(いわゆるバルクウイスキー)がブレンドされていることになります。大手でこのレベルですから中小企業で定義に沿うには並々ならぬ企業努力が必要ということになります。

ただし定義に外れたウイスキーが全てダメということではなく、言葉遊びを止めて「原理原則に、あるべき姿に戻した」というのが正しいのかもしれません。

  • 大手の力で黙ってなんでもし放題
  • やったもん勝ち
  • そこそこ旨けりゃ原酒や表記なんてなんでもok

こういった風潮にくさびを打って「自ら襟を正した」ということでしょうね。

ボトル丸ごと海外原酒ブレンドということもあれば、そのボトルに海外原酒がちょびっとしか使われてないこともあるでしょう。

 

そもそもスコッチウイスキーの定義は?

誰でも知ってる竹鶴さんが苦労して持ち帰ったノートで知られるように日本のウイスキーは結果として伝統的製法のスコッチウイスキーを追いかけてきましたから「世界5大ウイスキー」とも呼ばれるわけで、それを知らずして語れません。

そもそもスコッチを名乗れるのは以下の要件を満たすもの。

書き方はいろいろありますがザックリこんな感じ。

1.原料は大麦麦芽、酵母およびその他の穀物、水
2.スコットランド所在の蒸溜所で糖化、発酵、蒸溜
3,アルコール度数94.8%以下で蒸溜
4.700ℓ以下のオーク樽に詰める
5.スコットランド国内で3年以上熟成させる
6.カラメル添加してもよい
7.アルコール度数40%以上で蒸溜

そして今回の日本洋酒酒造組合によるジャパニーズウイスキーの自主基準は…

1.原材料は、麦芽(必須)、穀類、日本国内で採水された水
2.日本国内の蒸溜所で糖化、発酵、蒸溜
3,アルコール度数95%未満で蒸溜
4.700ℓ以下の木樽に詰める
5.日本国内で3年以上貯蔵熟成させる
6.カラメル添加してもよい
7.日本国内で瓶詰めし、充填時の度数40%以上

スコッチ製法と比べ遜色ない内容です。つまり可能な限り伝統に沿ったということなので目新しいことは何もありません。

冒頭で「ウイスキーに携わる人だけの問題ではない」と書いたのは、私が知る限り食品や反物(着物)の世界でも似たようなことをやっています。例えば最後の仕上げを日本でやれば原料や製法は一切無視して「メイドインジャパン」みたいなこと。それぞれの業界が率先して黙認し、素知らぬ顔でそんなことをしているのを知っていますから、それらに比べて日本のウイスキー業界が原点に立ち返ったニュースはそれなりのインパクトを感じます。

日本人として少し誇らしく感じるぐらいです。

なぜならこの厳しい基準をクリアしている商品数が大手でたった13ブランドだったとしても、それすらクリアできない国や企業は山ほどあるわけですからやはり「世界5大ウイスキー」の一角を占めるに相応しい国、企業が「ウイスキーを極める」姿勢は頼もしく感じます。

そもそもこれを厳格にしなかったら「ジャパニーズウイスキー」どころか「ジャパニーズ(日本人)」の存在自体が無意味です。

 

ラベル表記も明確に、紛らわしいものは全て排除の姿勢

さらに興味深いのが「表記」について。

1.そもそも要件に満たないものは「ジャパニーズウイスキー」を名乗れない
2.日本ウイスキー、ジャパニーズ××ウイスキー、◯◯タイプ、◯◯風などもNG
3.日本を想起させる人名はNG
4.日本国内の都市名、地域名、名勝地名、山岳名、河川名などの地名はNG
5.日本国国旗及び元号はNG
6.製法品質の要件に該当するかのように誤認させるおそれのある表示はNG

つまり基準を満たしていない作り方で「ジャパニーズウイスキー」を1つの単語として捉え誤解を与えるラベルは全てアウトとなります。たとえば「ジャパニーズ」と「ウイスキー」に別の単語を挟んで「ジャパニーズモルトウイスキー」みたいなのはアウト。「ジャパニーズウイスキー」を1つの単語なので「モルトジャパニーズウイスキー」はokといった具合。

これらは「Regarding standards for labeling Japanese whisky」として英語でもアナウンスされましたから海外愛飲家も「これジャパニーズウイスキーちゃうんかい」と気づく人もいらっしゃるでしょうし、この視点から海外産ウイスキーを眺められる日本人は目利き基準を得られるという意味でありがたいことですよね。

それにしても各社のネーミングはどーなるんですかね。

ブランドイメージが出来上がっているものは文字削除して戦えますが、看板商品や新製品は新しいネーミングが生まれるんですかね。ニッカのブラック系やサントリーの角瓶などは誰でも知っていますがジャパニーズウイスキーではない。しかし日本のウイスキー史を垣間見る商品でもあり「Nikka historic whiskey」とか妄想しました…。

原酒不足の今、クラフト系大注目の今だからこそ基準を整えやすかったかもしれませんね。

何が楽しみって今日本で売られているウイスキーの全ラベルが変更されるかと思うと、そこには企業姿勢が表現されるわけですからどーなるのか楽しみです。

日本洋酒酒造組合|統計・法律関係 自主基準
+1

コメント